シッコ

09月03日

中原です。
先日朝日新聞にM.ムーア監督の「シッコ」という映画の批評が載っていました。アメリカの医療制度への批判を込めたドキュメンタリー映画です。TVのERシリーズなど見てらっしゃる方はご存じでしょうが、アメリカは原則保険制度がありませんから、医療を受けるのにも「まずは民間の保険会社と契約しているか?お金を払えるか?」となります。お金がないと病院から放り出されたり、通院費のない患者さんは自分で怪我を縫ったり、我慢したりします。
 患者さんの側に立って考えてみると、一番は「最高の治療をなるべく安価に受けることができる」ということになると思います。ご存じの通り、日本は「国民皆保険制度」の下、誰でも平等に医療を受ける権利を持っています。それ自体は大変素晴らしいことですが、医療が高度化するにつれてかかる医療費も莫大になりつつある今日では、何十年も前に作られたこの制度では無理なことが多すぎます。保険というのは「ここまでの予算の中でやって下さいね、その中では医療機関がどのような材料でどのくらい手間をかけてやっても何もいいませんよ」というものです。ただ、そこに用意された予算は驚くほど少ないし、それも毎年下がり続けています。結局やり繰り上手な先生になってくれ、という国からのメッセージが込められているわけです。もし「良い車」を選んで下さいと言われたら、限られた予算の中での良い車と、走りや安全性などの質が高い良い車とでは全く違う車が選ばれるはずです。歯科医療に限らず、医療でも同じことがいえるのです。では、「良心的な作りの車」とはどちらですか?安くて多機能を追求した車なのか、高くとも剛健で安全、堅実な車なのか、それともバカ高いけれど無茶苦茶速いスポーツカーなのか?それでは、「良心的な医療」ってどういうものなのでしょうか?
 医療制度は、それでもアメリカよりはかなりマシです。ただ、識者達は日本の医療制度の進む先はアメリカを向いていると考えていますし、我々もそう感じています。ですから、今から自分の身を自分で守る意識を高めておく必要があります。すでに保健医療制度は破綻しかかっていますが、患者さんが予防に向き合わない限り今後国全体の医療費も減りませんし、患者さんの医療費負担割合もどんどん高くなります。わかりきっていることなのに、その啓蒙活動抜きに国の医療費だけが勝手にバンバン削減されていくのはおかしいことなのです。

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