ある友人とのメール

06月24日

ペリオ
中原です。
先週末に「日本臨床歯周病学会年次大会」に出席してきました。「臨床」とつくだけあって、まさに「臨床的」でした。私はこの会の関東支部に属していますが、以前私に発表の場を与えてくださったことから、若手のある先生とたまにメールでやりとりをさせてもらっています。彼はなかなかの好青年で、私の意見や苦言にも真剣に耳を貸してくれます。私もなかなかおおっぴらに批判など言える立場ではありませんから、彼にそのはけ口となってもらってしまって、いつも後で恐縮しています。

今回何に噛み付いたかと言うと、歯周病の治療方針についてです。簡単に言うと考え方(理解)の違いということなのですが、ある先生の発表を見て、こうも患者さんの口の中をいじり倒すか!との驚きを隠せませんでした。絶対的なコンセプトは「骨は平らに、歯肉は厚く」です。そのためにある骨をわざわざ削って平らにしたり、凹みには人工骨を埋めたりし、歯肉が下がったところには他の部位から切り取ってきた歯肉を縫い付けたりしていきます。

さて、対して私の考え方はどうかというと、「必要なことはするけれど、必要ないことはしない」です。何が必要で何が必要ないかは、過去に世界中から発表された論文に報告された成果に頼り、それプラス自分の経験や考え方、患者さんの希望を加味して決めます。私も必要と思える箇所には積極的に手術を行いますが、いじらなくても長持ちする方法を第一に治療方針を決めています。

「骨を削っても削らなくても長期経過の予後は変わらない」
これをどう解釈するか?
a) ならば骨を削って平らにし、患者さんが磨けなくても抵抗力のある形態にしておこう
b) わざわざ大きく手を加えたりせずなるべくそのままにしておき、骨が平らでなくてもその分患者さんにしっかり磨いてもらおう

b)が私の症例ですが、ほら、歯肉のラインはガタガタですよね?磨きにくいと思いますが、隙間の大きい箇所はよく磨けるはずです。しかも、歯根の色を見てください。神経は取らずに生きたままです(神経取ると黒ずむ)。歯肉には炎症はありません。喫煙してますが、歯磨きはできています。
同じ症例をa)の考え方でいくと・・・。ここまで重度の歯周病であれば、多くの歯が抜歯されてしまうと思います。そして骨造成してインプラント沢山かな・・・。歯根がにょきにょき出た状態でfinishはさせないでしょうから、神経も取って。お金もいくらかかるのでしょうか。

このような重症例の患者さんには、お金の問題ではありませんが、でもなるべく最小限の処置で済ませたいと(入れ歯以外という希望の中で)考えます。
あ、一応お断りしておきますが、保険診療ではこのようなかぶせ物の処置はできません。

とかいうことをメールして、困らせてしまっていました。
その先生はどちらかというと私の考え方には一致はしないのですが、歩む道は重ならないかもしれないけれど、患者さんのためを思って同じ方角へは向かっていくわけだし、結局二人ともお互いのいい点を吸収しあって理念を高めていきたいね、というまとめ方でいつも落ち着きます。

これからも、このようないい友人は大切にしていきたいと思っています。

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