がっくり

09月09日

daibutu当院に来る患者さんの中にも、ご自身では気づいてないものの、歯周炎が重度に進行してしまっている方もいる。

どこの歯科医院にもそんな患者さんはいるのだろうから、きちんと検査をする歯科医院ではまずその事実を指摘されるだろう。そこから先、積極的な治療が正確にできるかどうかは・・・できないところが多いと思って間違いない。なので、放置されてしまうのだ。

本日2回目の来院の患者さん、前回の主訴は右上6番(奥歯)の腫脹と痛み。P急発(歯周病で急に腫れてしまうこと)だ。簡単に洗浄して投薬したのみだが、今日いらしたら腫れも引き、痛みも取れていた。

さて、検査をして「あなたは全顎的に重度歯周炎なんですよ」と説明し、この腫れた歯も本来は抜歯が適当であること、反対の奥歯がなく前歯で噛んでいること、その前歯が歯周病であること、さらにその前歯が右上4から左上3まで連結されたメタルボンドのブリッジ(自費治療:高価)であることをX線写真10枚法をお見せしながら歯周ポケットチャートと照らし合わせて説明した。

賢明な歯科医師ならば、この説明でこの先何が起こるか想像できるだろう。既に重度歯周炎である。右上6は動揺度3度で沈み込む。左下は5番までしかない。幸い上顎のブリッジは動揺していないが、重度歯周炎である。臼歯部の支持がないため、ここから上顎前歯への下顎前歯の突き上げがはじまり、せっかくの高価なブリッジが動揺し始めいずれごそっと抜ける。

と、未来の状況を説明したのだが、本人まったく興味なし。「痛みが引いたから、何もしなくていいです」とのこと。スケーリングやSRPもしなくていいだと。感染除去しないのだから、治らないしさらに進行する。信じられないが、本人がそれでいいというのだから仕方ない。痛い目をみたときには既に手遅れなのに・・・。最後に「今の状況は車に例えれば、ツルツルにすり減ったタイヤで走っているようなものです。雨が降れば事故しますがそれは自己責任です。」と厳しい忠告を添えておいた。

9月に車検が2台続いたので、患者さんに説明する時にも無意識につい車で例えてしまうことが多いなぁ。

この患者さん、未来を救う方法はある。前歯をごっそり失わずに済む方法もある。しかし、残念なことにヒトは恐怖に直面しない限り学習はしない生き物だ。まだ50代のこの患者さんの人生を救えなかった。この患者さんが歯が一気に抜けることと、入れ歯を使うことになる恐怖に怯えてくれる日が一日も早く来てほしい。早ければ早いほど手の打ちようがあるかもしれないから。

反対に、「お任せします」ってのも困る。治療は受け入れてくださるのだが、自分でできることはなんとかしようという積極性に欠けるため、歯磨きがうまくいかないことが多いのだ。チョー難易度の高いことをしたいのに、それじゃ駄目なんですと言ってもかわらない。

またまたその対極に磨きすぎてしまう人というのもいる。いつもピカピカなのだが、歯がすり減っている!!

とまぁ、いろんな患者さんがいるのだが、わかっていて救えない患者さんがいると、この大仏さまのようにがっくりなのだ。

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