ブログ04月09日
近年、拡大鏡を用いての治療が注目を浴びている。簡単なものはこのような双眼ルーペであるが、大きなものだとン百万円もするマイクロスコープという代物もあり、すでに持っている先生も多い。
何に使うのかというと治療全般に使うのだが、特に細かいところを重点的に見たい時、すなわち「根の治療」や「虫歯の除去」「充填物のチェック」など、数え上げたらほとんどすべてに使えるかなと思う。
私は2年前から2.5倍の拡大ルーペを使用してきたが、もうこれなしでの治療は考えられない。きっかけはやはりレーシックだった。日常生活が裸眼でOKとなったので、ルーペをかけることが苦ではなくなったのだ。眼鏡を外してルーペにかけ直してというステップは、忙しい身としてはついついおっくうになって使わなくなってしまう。
最近仲良くしてもらっているS先生が「5.5倍は全く違った世界だ」というのを力説してくれたおかげで、なになに?と興味がわいてしまった。今度持っていきますと言ってくれたが、それまで待てずにまずは安物買いの銭失いを覚悟しつつとりあえず安いルーペを購入してみた。その世界観をすぐにでも体感してみたかったからだ。
購入してすぐに、S先生はご自身のルーペを持参してくれ説明までしていってくれた。感想?重い…。マネキンを使って診療姿勢をとってみたのだが、慣れない筋肉を使って首が痛くなった。そのくらいずっしりくる。やはり鏡筒も長いし、レンズも重いので仕方ないかなと思う。
私も買ったばかりの5倍のルーペを見せてみたが、値段は10分の1以下。いいのか?と思うが、S先生も興味をもったらしく購入を決意、昨日その使用感の違いを詳細に報告してくれた。
結果。そこそこ使える。あの価格であれば十分。
まぁそうかと思う。しかし、難点もいくつか挙げてこられた。細かい点は高級品に遠く及ばない。私も使っていて、正直使いやすいとは思わない。重い分、頭にもっとしっかりと固定してくれないと困るのだが、鼻が低いからかどうもずれてくる。顔を横に向けるとずれる。出っ張ってる部分が重いから、重さに振られて動くのは仕方ないけれど、これってすごい気になること。あと、色にじみがある。細かいところを見ているのでやはり気になる。このへんはS先生も一緒の感想。S先生はさらに根管治療での見え方の違いにも言及していた。私は根管治療にはまだ使っていない。
まぁでもしかし、5倍の世界はやはり違う。歯を削る時も、特に自費診療ではマージンの出し方で技工士さんの作りやすさが大きく変わり、精度の高い仕事ができるようになる。このルーペ、長時間の使用には向かないので、2.5倍と併用しながらよい仕事をしていきたい。
しかし、5倍が使えることはよくわかったので、一気に購買欲が出てきた。重いということを考えて、ヘッドバンドで固定するタイプがよいのではと考えていて資料請求をしてみた。現在市販されているものの中ではハイネが良いのではないだろうか。ライトも含めた頭の上でのバランスが取れているように感じる。いずれデモ機を持ってきてもらおう。
価格?50万くらいでしょう。
マイクロスコープ?誰か買ってください。こっちは高級品で400万です。
ただひとつ、勘違いしてはいけないことを。
道具が仕事をするわけではありません。道具以前にもっともっと大切なことがたくさんあります。道具があれば良い治療ができると短絡的に考えている若い先生方、そこから入ると遠回りしますよ。まずは治したい疾患についての知識の整理が必要です。勉強に明け暮れましょう。