カンブリア宮殿

02月18日

待合室
先週のカンブリア宮殿というTV番組で、徳真会なる大型歯科グループが取り上げられた。

ある患者さんから「この病院も、あそこを見習ってほしいものだ」とお小言をいただいてしまったが、それはスタイルや考え方が正反対に違うから無理というもの。しかし、ところどころに参考にしたい部分があったのも事実。患者さんにはできるだけ良い環境で治療を受けていただきたいとの願いは同じ。できることは工夫しましょう。

この医療法人に限らず、大型化をよしとするかどうかは意見の分かれるところだと思う。技術やサービスを平準化することで統制をとりやすくしているのだが、この基本的な考え方は歯科医療などの「技術のウエイトが高い」職業にはあてはめにくい。

わかりやすく言うと、歯科医師の技術・知識はどんなに研修を重ねても各人バラバラであり、その差はかなり大きい。卒後1年目でも、呑み込みがよく手もキレる先生がいたり、かたや卒後10年たっていてもセンスのかけらも感じられない先生もいるのが現実。これは持ち合わせた資質の問題であり、どうしようもない。技術職クオリティコントロールとは本当に難しいものなのだ。

頭も手もキレる優秀な先生は流れ作業のこなす治療ではなく、より専門性の高い高度な治療を行いたくなる。この手の医院はおそらく給料は歩合制だろうが、高度な治療は決して「もうかる」わけではない。むしろ、手のかかることをやればやるほど赤字になるのが現行の保険制度の悪いところ。治療に変にこだわりを持つと時間がかかり、診れる患者数も激減し、個人も医院も売り上げが落ちる。となると「さばけない医師」とのレッテルを貼られ、給料も減る。自分が数をさばけない分、配当が増えて忙しくなった他の医師からは「仕事を押し付けられている」と批判される。だから、賢く優秀な先生はこのような医院には馴染めないだろう。
つまり、この手の医院では公平性を保つために、いかに売り上げをあげられるかが評価の分かれ目になるのだ。

番組中、「診療台8台、歯科医師4人で患者数160名」と言っていたが、歯科医師1名に直すと1日40名の患者を診るわけだ。実際は衛生士が診る患者もいるだろうが、わかりやすくこれで考えると、1日8時間勤務だと1時間に5名だ。患者1人にかける時間は15分。これでは良い治療ができるわけがないことに気付いてほしい。ましてや高度な治療も無理だ。いくらサービスがよくても・・・だ。
ちなみに当院は歯科医師4人で1日の患者数は50人ちょい。だいたい歯科医師1名で12から15人の患者数。これくらいが妥当でしょう。みんなよくやってくれている。

日本でも最高レベルの治療を行っているのは総じて「分院のない歯科医院」だ。少なくとも私の知る職人歯科医師たちは皆、こじんまりとした診療所で仕事をしている。

私には今は助けてくれる歯科医師が大勢いてくれる。衛生士や助手にも思いっきり頼っているし、助けられている。彼、彼女らのおかげで、自分のこだわりの診療ができていることに本当に感謝している。

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