歯科医院経営の講義を聴いてきました

03月29日

アストラテック社(現デンツプライIH)のご厚意で、横浜市で年中無休、24時間対応の歯科医院を開院されている先生の経営論の講演会に招待を受けた。用事で都内にでるついでがあったので、折角だからと参加させていただいた。

だいたい、インプラントメーカーの講演会で経営セミナーとなると、いかに沢山のインプラントを患者さんに埋入して売り上げをあげるかという胡散臭いものだと先入観バリバリだったが、予想外にインプラントの話は全くなく、経営に関する持論を惜しげもなく披露していただけ、大変感銘を受けた。

インプラント大好きな先生方って、お金になることを知っているからいかに自分の利益に誘導するかばかり考えている方がほとんどだと思う(偏見あり)。千葉の超有名な先生は「千葉から入れ歯をなくしてしまいたい」とめちゃくちゃなことをおっしゃる。また、いくつかの分院をもつべらんめい調の超有名な先生は、当院の34歳の女性患者がインプラントの相談に行ったら「上の治療済みの歯も、いつダメになるか心配なんです」という言葉に対し、「じゃ、全部抜いてインプラント6本埋入してブリッジにしたらいいよ。上の歯だけで300万円だね。歯なんてあるからややこしいんだよ。インプラントの方が管理が簡単」などとのたまった。

勘弁してよ・・・。この若さで全部抜歯?しかもこの患者さん、かつてのむし歯のリスクは高かったようで、ほとんど冠が入っているものの今は良く磨けているし、骨もしっかり残っていて歯周病のリスクは低く、どうみても抜歯するような状態ではない。それを、管理しやすいから全部抜けとは・・・。

話が逸れたが、今日の演者の先生はそんなことはひとつも語らなかったが、その経営理論はまた独特ではあった。なにせ年中無休で24時間対応。診療台が39台もあるマンモス医院である。院長は平成2年に開業して以来1代でここまで築き上げたことからも敏腕な経営者であることは明白。

そんな先生の理論は、「代診の先生をいかに育てて稼いでもらうか」ってことでした。自分は仕事しないで経営に徹している。しかし、その教育への取り組み方には私と通じるものがあったかな。
なにせ、研修ノートの1ページ目には「朝来たら挨拶をしろ、ズボンは腰の上ではいてベルトでとめろ、診療前日にはニンニクを食うな、とかそんなことを書いてるんだ」だそうだ。当たり前のことをあえて書かなくてはならないことが今は必要だとか・・・。その他、言ってることは割と筋が通っている。あと、トレーニングの重要性への考え方も同じ。私も研修医の指導は大切と思っていたが、この先生はかなりストイックにやらせている。こんだけやらさせられれば、伸びるやつは伸びるよと思った。

しかし、結局は「良い組織を作るには、良い人材を得ることが最も重要」で、そのためには「沢山採用して選別をし、期待できる人だけを残していく。ダメな人は容赦なく切る」という感じだった。だから採用へのエネルギーはすごい。経営的にはある意味当たり前だとは思うが、そこまではっきりと口にされていたことには好感をもてた。

それができりゃ、確かに強い組織が作れるとは思う。でも、この先生の歯科医院はこの先生の代で終わっちゃうかもしれない。これだけでかくしてしまったら、後を継ぐ人を育てるのが大変だから。確かにこの先生にはそれだけの強引な力もカリスマ性もあるが、後継者は初めからすごいものを背負わされてしまう。後継者もまた、歯科医師ではなく経営者であることが求められてしまう宿命だ。

知人で八千代の大病院の院長夫妻がいるが、ここは3人兄弟で長男が医師で院長、二男は歯科医師だったか、三男は文系に進み経営を学び、今理事長をしているそうだ。

この大病院に比べれば、たかが39の診療台の歯科医院など小さなものだけに、より経営者の存在感と力量が反映されてしまう難しさがある。今は良いけど、次の代やその次の代は・・・。そう考えると、何がよいかは考え方次第だなと思った。

でも、参考になることも本当にたくさんあり面白かったので、すべてのスライドをノートにとりました。

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